西表島の自然を体験するツアーガイドという仕事を通じて、豊かな自然や島での暮らしについてを綴っています。

フトモモの花が咲いています。えっ…ふとももの花!?

「ふともも」には花が咲くんです

【特徴】ふんわりとした花、芳香、美味しい実

【出会える度】★★☆☆☆

【分布】屋久島以南の琉球列島、インド

 

フトモモ

「フトモモ」と聞いて思い浮かべるのが「太もも」だと思います。

太ももに花??

足に花が咲くの?

なんて思われる方がいるかもしれませんね。

 

実は、この「フトモモ」とは沖縄に生えている木の名前です。

同じつづりなので、間違えやすいですが、

花が咲くのは「フトモモの木」

 

川の上流によく生えている

西表島では、川の上流にフトモモの木が自生していることが多く、

カヤックを漕いでいると、よくフトモモの木を目にします。

 

普段は「あっ、フトモモだなぁ」なんて感じるだけですが、

4月、5月に時期になると

「あっ!!フトモモだーーーっ!!!」ってぐらいテンションがあがってしまいます。

 

花の形が可愛らしい

それは、フトモモの花が咲き始めるから。

フトモモは、チアリーダーが持つ「ポンポン」のような花を咲かせます。

一見、サガリバナに似たような花の形。

 

サガリバナと違うところは、サガリバナは散ると花がそのままの形で落ちます。

でも、フトモモはというと、フワフワした雄しべがバラバラに散らばって落ちてしまします。

 

見事に一本一本がバラバラになってしまうので、

散り際がなんとなく「切ない」感じがする花です。

 

でも、その切なさが美しさをかもしだしていて、「スゴく綺麗い」と感じます。

可愛らしさの中に、凛とした美しさを感じさせてくれる花。

それがフトモモなんです。

名前も覚えやすい

名前も「フトモモ」と覚えやすいです。

一回聞いたら、ほぼ忘れないインパクト。

逆に「フトモモの木」を見たら「太もも」の映像が頭に浮かんでしまうぐらいです。

説明していても、ついついアクセントが「太もも」になってしまうので、要注意。

 

果実も美味しい

そんなフトモモですが、

花が散って、雌しべがふくらみ始め、

6月ぐらいには白っぽい果実がなっているのを見かけます。

 

この果実がまた、美味しい。

香りはバニラのような香りで、梨のような食感。

上品なフルーツの味がします。

 

自然の中の実って、結構「野性味」あふれる味のものが多いのですが、

フトモモは南国の砂浜で食べるトロピカルフルーツの上品版みたいな味。

 

もともとは、インド原産の植物なので、そんなイメージを受けたのかもしれません。

インドでは「ローズアップル」とも呼ばれるそうです。

 

食べれるものは記憶力が異常に良くなるというゲンキンなガイド。

いつも以上に詳しく調べてしまいます。

 

果樹として栽培されていたものが、野生化したのが西表島のフトモモ。

人間が食べても、甘みがあるので動物たちにも人気なんだろうなと感じます。

 

梅雨の時期の楽しみ方

雨が多い梅雨の時期ですが、

そんな梅雨の時期をたのしませてくれるのが、このフトモモたちでもあります。

梅雨に入ると、雨が多いですが、

この雨が降らないと、植物や動物たちは困ってしまいます。

 

逆に、雨が降ることによって条件が整う生き物たちもいるんです。

人間にとっては、雨は「あまりいい印象ではない」かもしれません。

でも、それは現代の水道設備が整った生活ができるから。

水道がなかったらどうでしょう?

 

昔は「雨ごい」なんて儀式もしたほど、

雨は生活に必要な重要な水分でした。

 

蛇口をひねれば、水が出てくる「水道」を持たない動物たちのとっては

無条件で水が飲める「梅雨」こそが恵みに感じているんではないでしょうか。

 

そんな「みずみずしい自然」を感じることこそ、

梅雨の時期の楽しみ方でもあります。

生命活動を維持するために、花を咲かせたり、果実をつけたり

子供を産んだりと、生き物たちのみずみずしさも感じることができます。

 

そんな、ちょっとしたテンションの上がる出会いを見つけてみませんか。

 

ガイド飯田(写真/文)

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