西表島の自然を体験するツアーガイドという仕事を通じて、豊かな自然や島での暮らしについてを綴っています。

ピョンピョンと飛び跳ねるミナミトビハゼ、トントンミーと呼ばれる魚

「ミナミトビハゼ」トントントン、トントントン

【特徴】干潟をピョンピョン飛び跳ねる魚、クリクリした目

【出会える度】★★★★☆

【分布】琉球列島

ミナミトビハゼ

干潟をピョンピョンと飛び跳ねる魚。
ミナミトビハゼ 目玉がグリッと出ており、魚らしからぬ顔です。
出目金のように目が顔から飛び出しています。 そのクリクリした目は愛嬌が感じられます。

ムツゴロウの親戚

スズキ目・ハゼ科の魚でもあり。
干潟の上をピョンピョン跳ねる姿はムツゴロウのようです。
ムツゴロウもスズキ目・ハゼ科の魚なので、
ミナミトビハゼはムツゴロウと親戚のような関係 だと言ってもいいかもしれません。

西表島ではトントンミーという愛称で親しまれています。
西表島は干潟になる場所が多くあり 干潟を歩いていると結構な確率で出会うことができます。

逃げる姿が愛らしい

何気なく歩いていると、 ピョンピョンピョンと跳ねる小さい生き物が目に入ります。
最初は、何かわからないんですが、よく見ると 魚だということがわかります。
鳥に食べられやすいので、大きい生き物を見ると 一生懸命に逃げます。

干潟にはマングローブが生えていやすいので マングローブの根本に姿を隠して緊急避難。
鳥に襲われた時も、同じように逃げているのでしょう。 とても素早く、焦っている姿が可愛らしいです。

外国人にも人気

外国人の人に魚だよというと
「オー、マッドスキッパーね!グレイト!ハジメテミタヨ!!」 という反応。
直訳すると泥の上を跳ねるもの。

インド太平洋沿岸にも生育しているので姿は知っているようです。
ヨーロッパの人は、珍しそうに喜んでくれます。
見慣れた生き物でも、住んでいない人には珍しく見えるようです。

忍者のような身体能力

川岸にいるミナミトビハゼは、 驚くと水面を水切りのように ピョンピョン跳んで移動することもあります。
勢いをつけて、水に沈む前に水面を跳ぶ。
まさに忍者ばりの身体能力。 野生動物は身体能力高いなと感じます。

ですが、この術。 実は、ミナミトビハゼにとっては命がけの術なんです。
と言うのも、 水中には肉食の魚たちが泳いでいる場合があります。
この肉食の魚たちに見つかってしまうと、食べられてしまうことも。

ミナミトビハゼは美味しい?

水面を移動している最中に バチャバチャバチャという音がしたなと思ってみていると、
食べられているミナミトビハゼ。。。

初めて見た時は、あまりの野生さに ちょっと、ショック。
でも、これが弱肉強食の世界なんだな なんて教えられることも。
ミナミトビハゼは美味しいのかもしれませんね。

見た目では脂がのってそうな雰囲気。
そう思ってみると美味しそうに見えてきます。
「これ、食べれるんじゃないの?」なんて考えも。
食べませんけど。
食べれるかもなんて思ってしまう。

安住の地はどこにある?

陸にいたら鳥に狙われたり、 水面では肉食魚に狙われたり と安住の地を求めているようでもあります。
やっと落ち着いた干潟を見つけたと思ったら
人間がやってきた、怖いよー!
なんて感じているんだろうなと思うと、 何か可哀そうになってきます。

トビハゼに優しく

ピョンピョン飛び跳ねるのが面白いので 近くによって遊びますが、
ミナミトビハゼからしたら大厄災なのかもしれません。

今度からは、脅かさないように そっと見守ろうかな
そんな優しい気持ちにさせてもらえる生き物です。

 

ガイド飯田(写真/文)

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