西表島の自然を体験するツアーガイドという仕事を通じて、豊かな自然や島での暮らしについてを綴っています。

根っこが2メートル!?「サキシマスオウの木」のスゴい板根

巨樹「サキシマスオウの木」

【特徴】湿地帯の生育する高木。根が板状に発達している

【出会える度】★★★★☆

【分布】奄美大島、沖縄島、宮古島、石垣島、西表島、台湾、東南アジア、 ポリネシア、アフリカなど

 

様々な植物が茂るジャングル

西表島のジャングルの中では、様々な植物が競争しあいながら生きています。

本州の山は単一林(同じ種類の木だけ生えている)
もしくは植物種が少ない(主だった樹が10種類以下)なことが多いですが
西表島では、本州と違い、植物の種類が多いです。

多種多様な植物がひしめく、緑の島です。

そして、その植物たちは、互いに競争しあっている。
日光にあたると、植物は光合成ができ、おおきく育つことができます。
なので、植物は出来るだけ日光に当たろうとします
上へ伸びたり、横へ伸びたり。
中には、大きい木に巻き付いたりして光にあたろうとするのもいます。

湿地の王者「サキシマスオウの木」

そんな競争が激しいジャングルの中でも、
湿地帯のボスとも言えるのが、「サキシマスオの木」です。

山の上では見かけませんが、川沿いや、川の近くの湿地帯でよく見かける木です。

樹高が高く、ドドンとした木。

特に、森の奥へ入っていくと、大きな大きなサキシマスオウの木が姿を現します。
その迫力は、えにも言えないもの。
威圧感のある迫力ではなく、すべてを受け入れて悟っているような 落ち着いたものです。
迫力というより、堂々とした存在感がある木。

根っこがスゴイ!

根は「板根」と呼ばれる板状のもの。

根自体は、そこまで深くは張っていないようです。
地面のなかに深く張れない分、地上に根を出しておおきな体を支えています。
優しく触ってみると、板根は固く、しっかり中までつまっているのがわかります。
昔は、根を切り出し、まな板などにも使われていたそうです。

木にダメージを与えないでください

やさしく触って木の生命力を感じるくらいなら大丈夫ですが、
木の根を蹴ったり、叩いたりはしないでください。

元々、深くまで根を張っていない木なので、
根のまわりを人間が歩きすぎると
地面の中の根っこがダメージを受けて倒れてしまうことがあります。

あまり側には寄りすぎないでください。

大きな固い種

大きなサキシマスオウの木の周りを歩いていると、 変わった形の種が落ちています。

ギョウザみたいな形をしており、固い種。
それが、サキシマスオウの木の種です。

動物に食べられないようにか、固い殻で覆われています。

水をたくさん吸うと、種が割れ、中から芽と根がでてきます。
発芽率はそこまで高くありませんが、
しっかりと地面に根を張り、幼木が生まれます。

大きさは小さいですが、ちょっとやそっとの風ではビクともしない。
足腰がしっかりとした木です。

大きくなると、板根が発達してくる。
大きくなるのを見届けるのが、楽しみになってきます。

植物のことを、もっとよく知ると、
西表島へ来た時に もっともっと、面白い体験ができますよ。

植物ライフを楽しんでください!

 

ガイド飯田(写真/文)

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