西表島の自然を体験するツアーガイドという仕事を通じて、豊かな自然や島での暮らしについてを綴っています。

山の中を歩いていて気づいたこと「今年は、やたらと〇〇多いな!」

豊作!豊作!

ピナイサーラの森にて

最近、ピナイサーラの森へよく行くことが増えました。
ピナイサーラの森の中を歩いていると、「今年(2018年)は、やたらと多いな!」と感じます。

なにが多いかというと、「どんぐり」です。
いたるところにコロコロと落ちており、すぐに目に入る。

2017年や2016年は「どんぐり」を見つけるのに一苦労していましたが、2018年は探す手間いらず。
どんぐり豊作です!

なぜドングリ探すの?

なぜ、どんぐりを探すかというと、西表島には「オキナワウラジロガシ」というドングリがあるからです。
この「オキナワウラジロガシ」は、日本で一番大きいと言われているドングリなんです。
手に持った時のずっしり感といい、大きさといい、なかなかインパクト大なドングリ。

そんな素敵どんぐりを来て見て触ってほしいので、探すのですが、去年、おととしは見つからない。
9月ぐらいから落ちているはずなのに見つからない。
どこを探しても見つからない。
ドングリを紹介したいという気持ちと、紹介しなきゃというプレッシャーで焦る焦る。

「ウラジロガシの木をシラミツブシに探せば、どこかに落ちているだろう、ローラー作戦だ!」と思って、山道中のウラジロガシを徹底的にチェックするも、見つからない…
というドングリ探し地獄に叩き落されていました。
おかげで、オキナワウラジロガシの木が山道のどこに生えているかを覚えることはできましたが、なかなか大変な年でした。

今年はどこを見てもドングリ、ドングリで楽ちん。
「おっ、また落ちてる!」なんて楽しくなってきます。

2015年も豊作

2015年は2018年と同様にドングリが豊作の年でした。
見渡す限りのドングリだったので「西表島すげえな」と思っていたのを覚えています。

そう考えると、柿の木のように、ドングリも豊作と不作があるのかもしれません。
植物によっては、数年周期で、実を大量につけるというサイクルを持った木もあります。
西表島のウラジロガシももしかしたら、3年ぐらいでサイクルを形成しているのかもしれませんね。
今後の観察が必要です。

動物たちの餌

オキナワウラジロガシの他にも、スダジイなどのシイの実(ちっちゃいドングリ)も落ちています。
このようなドングリは、イノシシの餌になったり、鳥の餌になったりと指標としても使うこともできます。

「指標」というと大げさですが、ドングリが落ちている場所周辺に動物の痕跡がないか、ドングリを食べた後の殻はどれぐらいあるかなどの情報。
それらの情報から、その場所にどれだけの生き物が出てきているか、生き物の生活圏の大きさなどを知ったり、推測したりすることができます。

実が多いとドングリをたくさん食べれるので、決まった場所を食事場所に決めたり、実が少ないと実を探しに一生懸命広範囲を探し回ったりと、生き物たちは日々の食糧を手に入れるために努力をしなければなりません。
餌を探せず、餓死する動物もいるかもしれません。
ガイドが紹介したいからと探し回る比ではなく、命に直結する食糧探し。
ガイド以上に動物たちは真剣に探し回ったことでしょうね。
「イノシシ、おつかれ様。そして今年はターンとお食べ。」

森の中で、ドングリや木の実を見つけたら、この話を思い出してみてください。
「これ、齧った跡あるぞ!」なんてのを見つけたら、近くに動物がいるかもしれませんよ!

ただのドングリにも色んなドラマが含まれている。
そんなことを考えると、山歩きも少し違ったものに見えてくるかもしれませんね。

そんなドングリを探せるのは>>>【滝】ピナイサーラの滝つぼ&滝うえコース:P2

 

ガイド飯田(写真/文)

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