西表島の自然を体験するツアーガイドという仕事を通じて、豊かな自然や島での暮らしについてを綴っています。

特別天然記念物で絶滅危惧種の「カンムリワシ」呼びかけると答えてくれることも

「カンムリワシ」

【特徴】特別天然記念物の鳥、「ピ、ピーピー」と鳴き飛びまわる

【出会える度】★★★☆☆

【分布】石垣島、西表島、与那国島

西表島周辺にしかいない鳥

日本では、西表島、石垣島、与那国島の3つの島にしか生活していない鳥です。

怒ると、頭の上の羽を逆立てて威嚇する。
その威嚇の仕方がカンムリをかぶっているように見えるので「カンムリワシ」

具志堅用高さんのシンボルマークにもなっている生き物で、
「カンムリワシになりたい!」と言った言葉が有名です。

特別天然記念物に指定されている鳥

調べてみると、特別天然記念物は動物と植物で72種類の登録があり、動物が21種類、植物が51種類。

圧倒的に動物が少ないです。 もっと、多いものだと思っていましたが、結構希少。
西表島には、カンムリワシの他に イリオモテヤマネコも特別天然記念物に指定されています。

「西表島」という島1つに2種類もの特別天然記念物が生活しているのです。
たった、21種類の生き物たちの2種類が西表島に住んでいるなんて。。。

どのくらい、いるの?

2012年に行われた環境省による「カンムリワシ一斉調査」では、石垣島で110羽、西表島で78羽確認されたようです。
どういう方法で調査したかはわかりませんが、 自然の中で生きている個体を含めるともう少し多いかもしれません。

ですが、希少な鳥には変わりなく、 レッドデータブックでは、絶滅危惧種 ⅠA類に指定されている動物です。
近年は交通事故にあう個体も多く、車に轢かれて亡くなってしまうこともあります。

石垣島や西表島で運転する際は、十分気をつけてください。 運転していると、突然横から飛び出してくるので 法定速度を守って運転しましょう。

白いカンムリワシ

カンムリワシも茶色っぽいやつがいたり、白っぽいやつがいたりします。
白いカンムリワシは幼鳥(おさない鳥)です。
産まれたてのカンムリワシや、1歳ぐらいの若い鳥は白い羽を持っています。

成長するにつれて段々と生え変わってきて、 成鳥になると茶色っぽい色に変化します。
幼ない頃は、人がどういう生き物だかわからないので 結構、近くまで寄ってくることもあります。
カヤックに乗って1mぐらいまで、近づいた経験もあります。

存在感バツグン

近くで見ると、迫力があり、とてもドキドキさせてくれる存在です。
存在感がハンパないので、一緒に近づいたお子さんは 「やべぇ…かっけー!!!」と憧れの表情を浮かべてました。
それくらい、オーラが出ている鳥です。

涼しい日に出会える確率、大!

自然の中で出会える確率は低いのですが、 西表島では、道路沿いで見られることがよくあります。
特に、ある程度、気温の低い日(15℃~20℃)によく現れてくれます。
電線の上や電柱の上に留まっていることが多いです。
雨の日の後は、羽を乾かすために、羽を広げて留まっていることもあります。

エサの取り方はカッコ悪い

ワシというと、トンビが油揚げをさらうように、 シューっと降りてきてパッと咥えて飛び去るイメージですが、
カンムリワシはそうでは、ありません。

一度、地面に降りて獲物の横に立ち 口ばしで、突っついて捕まえます。
一度、降りるので、成功率が低いようです。
かなり効率が悪い。

電線にとまっている時も、下を通るトカゲとかを探しています。
降りて捕まえようとするのですが、逃げられそうになったのか、 羽をバタバタさせて、一生懸命あわてふためきます。

その姿が、可愛らしい。 普段の威厳のある態度から一転、 お茶目なエサの捕り方をなさる。
ギャップが激しすぎて、カワイイ。 ギャップ萌えな鳥でもあります。

カンムリワシに会いにいこう!

そんな意外な一面も持つ「カンムリワシ」
西表島で出会えたらじっくり観察してみてください。

野生の獣としての、鋭さをもっていたり、
ちょっと、おっちょこちょいのような人間っぽい面も持っていたり。
いろんな一面を見せてくれる鳥です。

夏の間は、日差しが強いので、木陰で涼んでいることが多いです。
川の上流の木々の中に佇んでいることも、しばしば。

春や秋は道路沿いの電柱の上を見てみてください。
気持ちよさそうに風を受けていますよ。

 

ガイド飯田(写真/文)

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