西表島の自然を体験するツアーガイドという仕事を通じて、豊かな自然や島での暮らしについてを綴っています。

沖縄のクワの木「シマグワ」は実が食べれます

「シマグワ」沖縄のクワの木

【特徴】あまずっぱい果実

【出会える度】★★★☆☆

【分布】沖縄各島、屋久島・種子島以南、台湾、南中国

 

シマグワ

西表島では、道路沿いを歩いていると いろんな植物を目にすることができます。
特に果実をつける植物が多いので 実をつける時期になると 小鳥たちがついばみにやってきます。

そんな中、食べられる実として有名なのが 「クワ」の木
沖縄では本州のクワとは違い、「シマグワ」と呼ばれるクワの木が生えています。

葉っぱが、ちょっと違う

図鑑などに載っている桑の木とは葉っぱが少し違う。
一般的にクワというと、 天狗のウチワのような深い切れ込み(深裂)が入っていますが
シマグワは大葉(おおば)のような形をしています。

短い毛が生えて、ちょっとフサフサしている。
新葉は天ぷらにして食べれるようです。
齧ってみると葉っぱの味。

当たり前ですが、葉っぱです。
食べれるものには敏感に反応。

昔、母に「草なんか食べないの!」って よく怒られましたが、そんなクセが治ってないのかも。
とりあえず食べてみよっと 口に入れてしまうことが多いです。
噛んでみるとヌルヌルしてくる。
「何か、毛が生えたモロヘイヤみたいだな。刻んで塩味のスープにすると美味しいかも。」
なんて考えたり。

3月に実が生りはじめます

3月に歩いていると、 クワの実が生り始めています。
まだ、緑のものが多いですが 赤く熟している実もチラホラ見かけられます。
実は甘酸っぱく、 野生のベリーのように粒々しています。

葉っぱと違い、実は キイチゴみたいで美味しいです。
道路沿いによく生えているので 小鳥たちが実を求めてやってきます。
イシガキヒヨドリが元気に鳴いていたり ジョウビタキが飛んできたり。
動物たちのレストランになっています。

クワは昔から重宝されていた樹

クワの葉はカイコのエサになったりとか、
生薬として使われるなど、古来から有益な樹木として 重宝されてきました。

一部では、霊樹であると言われたり、
かの有名な「三国志」では、劉備の産まれた家に 大きな桑の木が生えている。
なんて書かれていたりもします。

日本の地図にも桑畑の地図記号があったりもします。
それほど、生活に親しまれているクワですが、 最近はあまりふれる機会が減っているように感じます。

植物ってよくみると個性的

シマグワを見るまでは、カイコのエサになっている木だなぐらいの認識しかありませんでしたが、
実際に葉を齧ってみたり、実を食べてみたりすると 「クワって、こんな木なんだ」と実感できます。

植物ってどれも同じに見えますが、1種類1種類しっかりと見て、
調べていくと それぞれが、とても個性的なんだなと気づきます。

西表島は特に、植物の種類、量が多い島です。
そんな島に生えている植物をちょっとづつでも知ることによって、日常が全然違う景色に見えてきます。

西表島の植物、動物を知って 実際に来て、見て、さわってください。
そんな実感が体験となって あなたの生活を輝かせてくれますよ。

 

ガイド飯田(写真/文)

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