「イリオモテモリバッタ」
【特徴】黄色がかっている体、ジャンプ力抜群の足
【出会える度】★★★☆☆
【分布】西表島
黄色に体が特徴的
琉球列島に生育する「モリバッタ」の亜種です。
「アマミモリバッタ」「オキナワモリバッタ」「イシガキモリバッタ」「イリオモテモリバッタ」「ヨナグニモリバッタ」と5種類の亜種がいます。
イリオモテモリバッタの特徴は体の色が黄色味がかっているところ。
イシガキモリバッタなどは白っぽく見えますが、イリオモテモリバッタは黄色。
結構派手な配色です。
イリオモテモリバッタは足の先(脛:すね)が赤いものと、青いものがいて
更にド派手なカラーリングが特徴的です。
ちなみに、本記事に出てくる写真はスネアカタイプです。
ジャンプ力も抜群で、森の中の草にくっついていることが多いのですが気づかずに歩いていると
ビュッと飛んできて足にあたることがあります。
バチンと当たるので、結構痛い。
当たった瞬間は「なにごとか??」と一瞬焦るほどの衝撃です。
島によって違う
同じモリバッタでも住んでいる島によって特徴や種類が違うというのも、面白いです。
西表島には「イリオモテモリバッタ」、お隣の石垣島には「イシガキモリバッタ」
西表島と石垣島の間に浮かぶ小浜島では「ヨナグニモリバッタ」の生育が確認されています。
しかも、小浜島のヨナグニモリバッタは与那国島のモリバッタに比べると足が青い。
なんて特徴があったりもします。
島によって独自に進化したのか、距離的に近い島々のモリバッタが何らかの理由で交配して混ざったのか
真偽は不明ですが、西表島近くの島々で何かしらあったように感じるモリバッタです。
鳥に運ばれたとか、流木などに乗って別の島にたどり着いた、人が運ぶ作物や人にくっついていったなど理由はいろいろ考えられます。
詳しく調べていくと八重山の島々の交流や昆虫進化の過程解明の一助になったりするかもしれません。
西表島と進化
「進化」というと何かロマンを感じさせる響きですが、西表島では現在進行形で起こっているのではないかと感じさせられます。
2015年には、「ショウヤマキマワリ」と「カンピラツノチビゴミムシダマシ」という名前の新種が2種類見つかっています。
2017年にも「チュウガタマルケシゲンゴロウ」という新種のゲンゴロウが24年ぶりに発見されたりと新種発見の多い島でもあります。
豊かな森が育む生態系があるからなのでしょうか、生き残りの競争が激しいからなのでしょうか、
昆虫なんかは環境への変化を敏感に察知し形を変えているのかもしれません。
本気で探せば、まだまだ新種が眠っていそうな島でもあります。
沖縄では昆虫だけでなく、トカゲなどの爬虫類も島によって違う形態に進化したものもいます。
亜種という「ちょっと違うよ」っていう分類の仕方で呼ばれていますが、
その島、島によって環境が全然違うため、形も変わってきたものだと考えられています。
一見、同じように見えても、少しずつ違う生き物たち。
沖縄の島々をめぐる時は、そんな小さな違いにも目を向けてみると
島の環境が生き物に与える影響ってのに気づけるかもしれませんね。
あと100年もしたら、今とは全く違う環境になるかもしれません。
それでも、絶えず環境に適応した形に進化していく生き物たちを見ていると
自分たち人間も少しづつでも変わらなければならないんだなと感じます。
ガイド飯田(写真/文)