「キノボリトカゲ」
【特徴】木を登るトカゲ、運動神経抜群、腕立て伏せをするオス
【出会える度】★★★★☆
【分布】奄美諸島、沖縄諸島
木を登るトカゲ
名前の通り、木を登るトカゲなので「キノボリトカゲ」
わかりやすいネーミングです。
動物の和名は生態だったり見た目だったりを、そのまま表現することが多いです。
木を登るキノボリトカゲは指先にカリカリとした引っ掛かりを持ち、
指先を木の幹の引っ掛かりに引っ掛けながら登ります。
指先の形状と軽い身体をフルに使い、登る姿からは天然のボルダリング選手のオーラがあふれています。
運動神経抜群で敵に見つかったり、襲われたりするとピョンピョンと素早く移動します。
時には登っている木から、別の木までジャンプして移動することも。
長いしっぽでバランスをとりながら、忍者のように移動していきます。
のんびり屋さんな一面も
緊急事態には素早く移動するキノボリトカゲですが、普段はというと
結構のんびり屋さんでもあります。
地面や木の幹にじっとしがみつき、微動だにしない。
鳥などの敵に見つからないようにという意味もあると思いますが、
虫などの餌が来るのを待っている姿でもあります。
時には口に入りきらないほどの大きな虫を捕まえていたり、
小さな木の実を口いっぱいにほおばっていたりする姿をみることもできます。
気温が低いと出会えない
夏の間はよく出会えることが多いキノボリトカゲですが、
気温が低い日や雨の降っている日にはあまり活動しないという特徴もあります。
11月以降、北風に変わり気温が低くなる季節はほとんど見ることができません。
また春になってくると、ひょっこりと出てきてくれるトカゲです。
木漏れ日が入ってくる場所で日向ぼっこをしていることもありますが、たいてい木にくっついていることが多いです。
腕立て伏せをするトカゲ
オスのキノボリトカゲは「腕立て伏せ」という特技を持っています。
じっと観察していると、木につかまりながら腕立て伏せをするように前足を曲げたり伸ばしたりします。
人間で考えると、ありえないほどの筋力が必要になります。
この「腕立て伏せ」ですが、やはりメスへのアピールで行っているようです。
腕立て伏せの回数が多ければ多いほど、強さをアピールできる。
トカゲの世界では身体が強い個体がモテるようです。
周りにメスがいない時も腕立て伏せをしている時もあるのですが、
いざ、メスに出会った時に猛烈にアピールできるように普段からトレーニングしているのでしょう。
結構ケナゲであったりもします。
6月ごろから赤ちゃんトカゲに出会える
西表島では6月ごろに卵から赤ちゃんが孵るのでしょう。
指先ほどの小さい赤ちゃんトカゲが増えてきます。
大人のトカゲに比べてサイズも小さく、動きも鈍いので可愛らしいです。
1年ほどかけて大きく成長していくのでしょう。
途中で食べられないように頑張って成長してほしいものです。
ガイド飯田(写真/文)