「ノコギリガザミ」
【特徴】甲羅のフチがギザギザ、大きいハサミ、意外と大人しい
【出会える度】★★☆☆☆
【分布】日本南部を含むインド太平洋の熱帯域
マングローブの根本に生息
西表島には、マングローブ林が広がっていますが、マングローブの根本には色んな種類のカニが住んでいます。
マングローブの付近でよく見かけるカニは、コメツキガニ、フタハオサガニ、コモンガニ、ツマベニガニ、シオマネキなどです。
少しレアどころになると、ツノメガニ、ノコギリガザミなど、大型のカニになります。
関連記事>>>西表島の冬のツアーでは生き物もゆっくり動いています。「干潟」で見れる生き物
ツアー中、干潟に寄って遊んでいると、そんなレアどころのカニ「ノコギリガザミ」がヤエヤマヒルギの下でうずくまっていました。
最初は「ん、地面の色が少し違うな」と感じただけでしたが、「なんかカニっぽい形していたな」とすぐさま二度見。
20cmはあろうかというぐらい大きなサイズのカニでした。地面の色と同化しているので、動かないと、なかなか見つけづらいカニでもあります。
気温が低く、北風が吹いていた日でもあったので、微動だにしません。
「あれっ、死んでるのかな?」と近くにあった枝でつついてみると。
大きなハサミをグインと持ち上げて、のっそりと動き始めます。
寒さで、あまり動きたくなかったのでしょう。
動かなければ、敵にも見つかりにくいので、一石二鳥。
でも、変な人間に見つかってイジられてしまったので、ご機嫌ななめなようです。
「コラーーッ!せっかく休憩していたのに、なに邪魔しとんじゃい!」とでも言いたげな様子でハサミを振り上げます。
結構でかいハサミ、「挟まれたら間違いなく痛いだろうな、手切れるかな」なんて少々ビビりながら枝でつついてみる。
大きなハサミで枝をつかまれたので、枝を持ち上げてみると、ブランブランとぶら下がる。
自分の身体を持ち上げれるぐらい強い力で挟んできます。
高級食材
そんなガザミですが、西表島では高級食材です。
レストランでは、ガザミのパスタなどの料理で提供されたりしています。
希少な食材で、数が少ないのでオープンと同時に行って注文しないと売り切れてしまうことが多い人気料理でもあります。
島では伝統的な漁法でガザミを取る漁師さんがいたり、カゴ網の仕掛けを使って獲る漁師さんがいたりもします。
獲り方は様々ですが、手間がかかるのと、見つけるのに苦労するほど、見つけるのが難しいです。
味は濃く、足を食べるというより、ミソの部分を食べるカニでもあります。
生きている時は黒っぽいですが、茹でると真っ赤になるので、見た目も美味しそうです。
英語の名前は「マッドクラブ」と呼ばれているカニです。
マッドクラブという言葉だと聞いたことがあるんじゃないでしょうか?
オーストラリアではレストランでも皿に山積みに盛られて出てきたりもします。
西表島では珍しいカニ
西表島では、オーストラリアと違い、獲れる面積が少ないので数も少ない。
狙っても獲れない時もあるぐらいなので、自然体験では滅多にお目にかかれない生き物でもあります。
ちょっかいを出さないとジッとしているカニなので、大人しいカニでもあります。
ジッとしているから、更に見つけにくい。
ハサミを使うのも攻撃というより、自衛のためが多いようです。
見た目のゴツさとはうらはらに、意外に平和主義者なカニでもあります。
干潟の時にマングローブの側を歩く時は、根元に注意してみてください。
マングローブの根本は栄養が貯まりやすい場所でもあります。
ノコギリガザミだけでなく、思いがけない生き物との出会いがあるかもしれませんよ。
ノコギリガザミに会えるかも>>>【滝】ピナイサーラの滝つぼ&滝うえコース:P2
ガイド飯田(写真/文)