カヤックとカヌー
エル・ビー・カヤックステーションの名前にも入っている「カヤック」
「カヌー」という言葉は聞いたことがあると思います。
でも、カヤックという言葉は聞きなれない。言葉は知っていても、カヤックとカヌーって何が違うの?
シーカヤックって言葉を聞いたけど、カヤックのこと?という疑問が出てきます。
カヤックとカヌーの違いについて詳しく説明していきます。
カヤックって何?
もともとは、アリューシャン列島やグリーンランドなどの極寒の地に住むイヌイットたちが使っていたもの。
流木で骨組みを作り、アザラシの皮を張って船を作ったものが原型です。
アザラシやトドを狩るのに使われていました。
国によって呼び方も違う
日本ではカヌーというと、オープン・デッキ(甲板が空いているもの)とクローズド・デッキ(甲板がカバーされているもの)をまとめてカヌーと呼んでいます。
北米(アメリカ、カナダ)ではカヌーといえば、オープン・カナディアン・カヌーのみ
その他のカヌーは「カヤック」と厳密によびわけているようです。
日本でカヌーと呼ばれるフネも様々なタイプがあるのですが、形で分類してみると、
カナディアンカヌー、ファルトボート、インフレータブルカヌー、ファンカヤック、シーカヤック、シットオン・トップに分類されます。
カナディアンカヌー
北米でカヌーと呼ばれるもの
デッキ(甲板)がオープンになっていて、ブレードが片方にしかついていないパドル(漕ぎ棒)で漕ぐもの。
湖をのんびり漕ぐようなイメージのフネに感じますが、激流くだりを専門にデザインされたモデルもあります。
かつては、川を使ってビーバーの毛皮を運ぶために使われていたようです。
ファルトボート
いわゆる折り畳み式のもの。フレーム(木やアルミ)の上に布を張って組み立てる。
持ち運びに便利、保管場所に困らないのがいいとこ。
組み立てるのに時間がかかることと、片づける時にきちんと乾かさないとダメ。
フェザークラフト(カナダ)やフジタカヌー(日本)が有名。
インフレータブルカヌー
空気を入れて膨らますタイプ。
船体はゴムなどでできていて、空気を入れるだけで準備ができ乾くのも早い。
向かい風を受けると、なかなか前に進まないなどのデメリットも。。
グラブナー(オーストリア)など。
ファンカヤック(リバーカヤック)
もともとイヌイットが使っていた狩猟用の小舟をレジャーや競技用にアレンジしたもの。
種類が豊富で、クルクルと小回りが効くもの(レジャースラローム)から、波の静かな沿岸ならシーカヤックとして使えるものも。
ほとんどがポリエチレン製。壊れにくく長持ちする。
メーカーによってはレクリエーションカヤックと呼ぶところもあります。
ちなみに、リオデジャネイロ五輪のカヌーで銅メダルを獲得した羽根田卓也選手が乗っていたのはスラロームというもので、こちらに分類されます。
シーカヤック
本来のカヤックの姿に最も近いモデルです。
ややズングリした感じのアリューシャンタイプと、シャープなフォルムを持つグリーンランドタイプがあります。
ズングリタイプは狩猟と共に毛皮の運搬にも使われるため、安定性が高く積載できる荷物も多いです。
シャープタイプはスピードを重視し、アザラシなどの生き物を狩るのに使っていました。
前後には荷物を入れれるハッチがついています。
ひっくり返っても中の空気で船が浮きます。
海の場合、波をスムーズに乗り越えたり、長距離を楽に漕ぐことの方が重要になってくるので
後ろには舵(ラダー)がついているものもあり、足で操作し、左右に曲げることができます。
長い距離を漕ぐツーリングや潮の流れがある場所では大活躍します。
シットオン・トップ
アメリカのマリブオーシャンカヤックス社がスキューバダイビングのために、タンクが固定でき、
しかも水中から の再エントリーが簡単にできるフネを!!というコンセプトから生まれたモデルです。
いろんなメーカーさんが作っていますが、最大の特徴は、開放感と抜群の安定性。
水中からでも再エントリーできる手軽さも人気です。
プラスチックの中は空洞で空気が入っていますので、ひっくり返っても浮きます。
普通のカヤックに比べて船足は遅いので、長距離は難しいですが、幅ひろい用途で使えるカヤックです。
LBカヤックステーションで使っているカヤック
エル・ビー・カヤックでは、シーカヤックとシットオン・トップを使っています。
初めての方でも気軽に漕げるようにという意味で、漕ぐ距離が短いピナイサーラのコースは
安定性が高く、ゆったり漕げるシットオントップ・カヤックを使い
長距離のロングライド(ナーラ本流、ナーラ支流、船浮湾)のコースは本格的な舵付きのシーカヤックを使っています。
旅の目的に合ったカヤックを使って、西表島の大自然を満喫してほしい!
という想いで、カヤックを選んでいます。
カヤックとカヌーの違い、わかりましたか?
乗り心地、操作性などは実際に乗って試してみてください!
ガイド飯田(写真/文)(写真、イラストの一部はフリーの素材を使わせて頂きました)