「リュウキュウガキ」
【特徴】小さい実のなる柿、有毒のカキ(柿)
【出会える度】★★★☆☆
【分布】東南アジア、太平洋諸国、台湾、琉球
小さい実のなる柿
リュウキュウガキはその名の通り、琉球で実る柿です。
実は小さく、可愛らしい姿。
そんな可愛らしい実には、実は毒が含まれており、意外に危険です。
プルンバギンという、いかにもな毒が含まれています。
魚毒として使われてる毒で、結構強い作用があるようです。
見かけても、あまり触らないようにしたほうがいいですね。
地面に落ちていることが多い
トレッキングをしていると、地面に実が落ちていることが多くあります。
若い実は緑ですが、熟すと黄色くなり、黒色に変化していきます。
本当にミニチュアのおもちゃの柿のような姿をしており、
中の種もまんま、柿の種を小さくしたもの。
落ちているのを見かけると、ついつい食べてみたい衝動にかられますが
絶対口に入れないでください。
木自体は固くしっかりとした木です。
トレッキングの最中、たまに頭を木にぶつけるのですが、これが「痛い!」
本州の柿の木は装飾などの家の材料の一部にも使われるのは有名ですが、
リュウキュウガキもしっかりと木目も詰まっていそうな雰囲気です。
木には房なりに実がつく
10月~11月にかけて実をつけることが多いリュウキュウガキ。
頭の上を見上げると木の枝びっしりと実をつけているのを観察することができます。
毒を持つことによって食べられにくくしているのでしょう。
西表島の森では多種多様な植物が生活しており、それぞれが戦略を持って生きています。
ジャングルでの生存戦略
以前紹介した「ギランイヌビワ」なんかは、逆に食べられやすくして種を遠くに飛ばしてもらう戦略をとっていたりします。
「ギランイヌビワ」は広く拡散させ、常に生存に適した場所を探し求めているといってもいいかもしれません。
飛ばしてもらった先は、いい場所かもしれないし、悪い場所かもしれない。
行ってみて「いい場所だったらラッキー」という感覚かもしれませんね。
参考記事>>>ふさなりの「ギランイヌビワ」、実のつけ方にビックリ!実をつける場所は…
それに比べて、リュウキュウガキは「毒」を持つことによって食べられにくくしています。
その分、子孫(種)を足元に落とすことができる。
柿の木が実を成らすのにいい条件がそろっている場所を死守しているようにも感じます。
ギランイヌビワがチャレンジャーだとしたら、リュウキュウガキは保守的な植物。
あえて挑戦せずに、地道に足元を固め自分の土地を守る、まさに「ガーディアン」的な存在。
それぞれが、西表島の自然で繁栄しているので、どちらの戦略も間違いではないのでしょう。
どこで、どのように生活するかは自由。移り歩いてもいいし、地元に住み続けてもいい。
でも、それぞれでしっかりと「自分はこうだ!」という確固たる信念をもって表現しなければいけないよ。
と教えてくれているようです。
リュウキュウガキを見ると「あなたは、どういう戦略をとる人?」と聞かれているような気がします。
自分も「さてさて、どう生きようか」と考えさせられる植物たちとの出会いです。
西表島では自然を観察していると、こういう考えさせられるような出会いもあります。
どう感じ、どう行動するかによって、どう生きるかが決まってきます。
そんな自然体験を「エル・ビー・カヤックステーション」でしてみませんか?
ガイド飯田(写真/文)