「ベンケイガ二」
【特徴】赤い身体、素早い動き、夜行性のカニ
【出会える度】★★☆☆☆
【分布】東京湾以南
赤い身体が緑の中で目立つ
森の中を歩いていると、時々、赤い物体が視界を横切る時があります。
しかも、赤い物体が横切るのは、雨の日が多い。
横切った方角に顔を向けると、もうそこに赤い物体はない。
「ん?見間違いかな?」なんて思っていたのですが、ちょくちょく横切る。
「えっ、幽霊?」なんて思ったこともありますが、赤い物体の正体は「ベンケイガ二」というカニでした。
動きが素早いカニなので、動物などの気配を察知すると一目散に逃げてしまう。
ですが、緑の中で赤い身体なので、目立ちやすいのでしょう。
鳥かヤマネコかわかりませんが、食べられてしまった跡をよく目撃します。
基本的にカニは茹でたら赤くなりますが、ベンケイガ二は生きているうちでも真っ赤。
西表島は1年中、緑の木が多いしまなので、赤だとだいぶ目立つ。
動物に狙われてしまうのも仕方ないかなと思います。
それでも生き残れてきたのですから、赤いメリットがあるのでしょう。
例えば、恋の季節にお相手を探しやすくなるとか。
岩の隙間にも隠れている
岩の隙間にも隠れていることが多いです。
岩の隙間は鳥も嘴が届きずらいので、狙われた時なんかは奥へ逃げ込めば大丈夫!とでも思っているのでしょう。
特に水があるところが大好きみたいで、湿った岩の隙間の前で動かずにジッとしていると、ゆーっくりと顔を出してくれます。
水に濡れている岩は岩肌に藻が生えやすいので、その藻を食べながら生活しているようです。
夜行性のカニ
暗がりに隠れるのは鳥などの敵に狙われないようにという意味もあると思いますが、調べてみると、実は夜行性のカニのようです。
西表島島内では、夜の道路を歩いているとミナミオカガニなどのカニが道路を横断することがよくあります。
特に大潮の日の夜は、車が通れないほどの大移動。足の踏み場もないほどのカニなので、夜行性のカニが森に多く生活しているんだと思います。
その1種類がベンケイガニなんでしょうね。暗い林床だったり、岩の隙間だったり、暗い場所を好む習性はその為でしょう。
しかも、遭遇率が高いのは、雨の日だったり、雨上がりだったり。太陽が照っていない暗い日。
ただ単に水が好きなのかなと思っていましたが、夜行性という習性もプラスされた行動だったとは。
言われてみれば、そうだなと納得の習性です。
動物との出会い方
動物を探す時は巣穴を見つけるのも一つの手ですが、こういった習性を知ることも動物に近づける手です。
人間も特に都会の人だったら、「雨降ってるから外出たくないな」なんて思う人もいるでしょう。
それと同じで、動物もそれぞれで、雨嫌いがいたり、雨好きがいたり、カンカン照りが好きだったり曇りが好きだったりと様々です。
一度に全部見れればいいのですが、それぞれ気が向かない時だってあります。
動物の気持ちも少しだけでもわかれば、「ああ、出てきそうだな」と感じる事もできるようになってきます。
そんなことを頭の片隅にでも置いておいてもらえると嬉しいです。
出会えなかった時は「気分がのらなかった時」なのかもしれませんね。
そんなベンケイガニを見れるかも>>>【滝】ピナイサーラの滝つぼ&滝うえコース:P2
ガイド飯田(写真/文)