西表島の自然を体験するツアーガイドという仕事を通じて、豊かな自然や島での暮らしについてを綴っています。

マングローブの根本で生活「シレナシジミ」が大きい理由とは…

「シレナシジミ」

【特徴】30cmにもなるシジミ、マングローブの根本で生息

【出会える度】★★☆☆☆

【分布】奄美大島以南の南西諸島、中国、 台湾、マレーシア、シンガポール、ベトナム

 

巨大シジミ

シジミとは思えないほどの巨大シジミです。
大きさは大きいもので30cmほど、小さいものでも10cmはある巨大シジミです。
持ってみると、ずっしりと重いシレナシジミ。

正式名称は「ヤエヤマヒルギシジミ」という名前です。
「キゾ」とも呼ばれるようですが、西表島では「シレナシジミ」が一般的に呼ばれる名前です。

マングローブの根本で見かけることができる

正式名称の「ヤエヤマヒルギシジミ」はマングローブの一種である「ヤエヤマヒルギ」の名前を借りています。
名前の通り、ヤエヤマヒルギの足元で生活していることが多いシジミなので「ヤエヤマヒルギシジミ」

 

参考記事>>>森の入口で出迎えてくれる「ヤエヤマヒルギ」。歩きだしそうな勢いのマングローブ。

 

海のそばの汽水域の泥の中にもぐっていることが多いシジミです。
ヤエヤマヒルギの足元は干潮になると干潟(陸)になってしまい、水が無くなります。
シジミなどの貝類は陸の上では生活が苦しいです。

巨大な理由

そのため、シレナシジミは殻を大きく成長させていると言われています。
大きな殻をもつことができれば、殻の中に水をためることができる。
干潮になっても、しっかりと殻を閉じて水を逃がさなければ、次に水が入ってくる時間帯まで耐えることができます。

生きるために殻を大きくして進化したのが「シレナシジミ」なんです。
普通のシジミは海の側にいきているので、殻を大きくする必要がない。
でも、西表島のような過酷な環境で生きざるを得ない「シレナシジミ」は、その環境の適応していくしかなかったのです。

1年に1cmづつ成長

過酷な環境下で大きく進化したシレナシジミ。
大学の研究の材料にもなっているようで、実測で1年に1cmずつ成長する事が判明しています。

30cmにもなると20年近く生きているのでしょうか?
「えっ、先輩?」って聞きたくなる、長生きな貝の可能性もあります。

カヤックに乗っていると見つけやすい

そんなシレナシジミはマングローブの根本で生活しているので、歩いていくことはできません。
泥の中にもぐっていることが多いので、100%見つけれるわけではありませんが、たまに見つけることができます。

マングローブの側をカヤックで近づくと地面の上に白い物体がコロンとある。
マングローブの足元に転がる白い物体はシレナシジミの可能性が限りなく高いです。

普段は茶色の殻ですが、ガザミなどの大型のカニに捕食されることがあります。
大きなカニは大きなシレナシジミをハサミで割ろうとガリガリと貝を挟みます。
その際、表面の茶色の部分がはがされてしまい、白い殻が見えるんです。

なので、遠くから白く見える。
マングローブをカヤックで漕ぐ際は、根元に白いものが落ちていないか注意して見てみてください。
シレナシジミを見つけれるかもしれませんよ。

そんなシレナシジミに出会えるかも>>>【滝】ナーラ川本流コース(マングローブ&ジャングルカヌー):MJ2

 

ガイド飯田(写真/文)

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