「ヤエヤマヒルギ」は、マングローブの代表格
【特徴】マングローブの代表格。タコの足のような根を持つ。
【出会える度】★★★★★
【分布】沖縄以南の琉球列島、台湾、ミクロネシアなど
水に浸かったり、陸にあがったり
西表島は「マングローブ」という植物たちが多く生えている島です。
「マングローブ」は、塩に強い植物。
海水が入ってくるところでも育つことができる植物です。
「満潮になると海水に浸かり、満潮になると陸にあがる」ように見える。
海水がマングローブの根本を出たり入ったりするので、沈んだように見えます。
マングローブは日本に7種類
水に浸かっている様子が、漂っているようにみえるので
「ただよう木(漂木)」と書いて「ひるぎ」と呼びます。
「マングローブ」には、「〇〇ヒルギ」と呼ばれる種類の植物が多いです。
「マングローブ」と呼ばれる植物は日本に7種類。
「ヤエヤマヒルギ」「オヒルギ」「メヒルギ」「マヤプシキ」「ヒルギダマシ」 「ヒルギモドキ」「ニッパヤシ」です。
続けて言うと、何か呪文のような響き。
日常生活にはなじみのないような言葉が西表島にはあふれています。
河口にマングローブ林を作ります
「マングローブ」は海から河口、川の上流にかけて生えている木です。
川沿いにマングローブ林を作って生活しています。
マングローブの林を抜けた先に、ジャングルが広がっているんです。
ザ・マングローブ
マングローブの一種の「ヤエヤマヒルギ」は、 テレビや写真で紹介されている「ザ・マングローブ」
「夕日が落ちる水面に浮かぶ変わった形の木」というイメージでよく知られています。
「マングローブ」と聞いたら、真っ先に思い浮かべるシルエット。
変わった形の木
根がタコの足のように、何本も何本も広がっている格好。
どことなく、フレアスカートを穿いた貴婦人のよう。
遠くからジーっと眺めていると、歩きだしそうな人にも見えてきます。
昔、ディズニーで見かけたような喋って、歩く木。
そんないでたちです。
踏ん張って生きている
根を何本も張ることによって流されないように踏ん張って生きています。
必死です。
「ヤエヤマヒルギ」の生えている場所は、川の河口付近が多い。
この場所は、水の流れがあるので、地面の砂が流されやすい場所でもあります。
台風の翌日に行くと、砂が海へ流され、地面がえぐれている事もあります。
そんな場所なので、根を張ることにしたのかもしれません。
生き残るために進化している。
過酷な環境にいる方が、工夫を凝らして、個性的になっていくのかもしれませんね。
人間も、植物も同じだなと感じます。
根の先端を、よく見てください
根っこが地面に入っているところを、よく見て!見て! 根もよく見てみると、
地面に刺した後に 「手のひらを広げる」ようにして、先端を分裂させています。
アンカーをうつように抜けないように工夫しているのです。
これをはじめて見た時は「すごいなぁ、執念だなぁ」とヒシヒシ。
過酷な自然の中で「生きる」とは、こういうことなんだな。
ただ単に、生きるのではなく、必死にくらいつく。
このくらいつき、必死さがヤエヤマヒルギを今まで生かしていたのでしょう。
マングローブ先輩が教えてくれること
傍から見たら、ただの木ですが、その木の一本一本にも 生き残りをかけた物語が込められているんだなと思います。
「ちょっとや、そっとのことでヘコタレテル場合じゃないぞ」 と教えてくれているようです。
この木がここに生えている理由を知ってください。 なんか、植物にも親近感が湧いてきますよ。
マングローブ先輩が教えてくれる森の物語に耳をかたむけてみてください。
ガイド飯田(写真/文)